一瞬でも二人きり

夜はなんか切なくなった。切なくなるのって日曜の夜っぽい。

彼のことを考えてた。本当はもっと一緒に痛かったけど、友達の誘いに乗って、彼は行ってしまった。

家に泊まったけど、私の友達と彼の友達も一緒で、二人きりになれなかった。でもすごく楽しかった。二人きりで家にいてもなにも話すこともすることもないから、人がいてくれるだけで変化が生まれて楽しいなって思った。

でもみんなで楽しい時間を過ごすのと同じくらい、一瞬でもいいから二人きりになりたかったなって思う。なんでだろ。一回でいいからキスをして、じっと目を見つめたかった。

そんな些細なことが、私の癒しで、みんなでいるときに実現できない秘密の行為だったんだ。


まぶたを薄く閉じて、思い出してみる。彼の目と、キスをしているときの感覚。そして思い出してしまうたびに切なくなってくる。


友達との飲み会が終わったあと、電車に乗る寸前まで、すこし電話してくれた。なぜかというと、私が電話してって言ったから。今日あったことの話は、突然、電車乗るね、の声で終わった。

家に着いた、と、おやすみ、のLINEが来た。



愛するってどういうことなのか、私にはまだ難しい。


彼のことが大好きだ。

もう、他のすべてを失ってもいい。本当に、失ってもいい。

でもきっとこれは愛しているじゃない。


彼が突然下半身不随になってしまったとして、自分の生活を捧げても面倒をみることができると言える。ことが、愛している、ということなのだと、私の中で決めている。


それはまだ無理だな、と思う。悲しいけれど。